第1期 第20回医鍼連携研修

第1期 第20回医鍼連携研修を、オンラインにて開催しました。
期間:2021年3月21日(日)〜3月28日(日)

カリキュラム

  • 現代医学 : 画像診断の見方(エコー) 諏訪中央病院 須田先生

臨床実技(模擬治療)

  • 現代鍼灸 :足底部 術後のしびれ・異常感覚
  • 中医鍼灸 :五官疾患
  • 経絡治療 :フレイル

現代医学

第1期研修会の現代医学の最終講義は、諏訪中央病院 リウマチ膠原病内科 須田万勢先生による「臨床現場で超音波はどのように使われるか?」でした。
超音波の仕組みや、装置の進化など、基本を理解するところから始まりました。

超音波像では筋や腱がどのように見えるか、正常な腱の画像を見せていただいた上で、炎症により滑液が溜まっている画像、バネ指などの肥厚した腱鞘の画像の解説を受けました。また、アキレス腱の長軸断面画像で、皮下組織、アキレス腱、踵骨、脂肪体、滑液包などの見え方を教えていただきました。

他のモダリティと比較しての超音波は、使用される臓器の幅が広く、その場で対話しながら動的評価ができるなど多くの長所があるようです。保険適応の現状、ポケットエコーのお話、痛み診療での「関節」エコーの活用のお話と、存分に超音波について教えていただきました。

最後に、部門長の津田先生より、2年間の研修の最終回を迎える第1期生へ餞けの言葉がありました。

現代鍼灸

2年間の締めくくりの現代鍼灸のテーマは、「足底部 術後のしびれ・異常感覚」でした。

脳血管障害は介護が必要になる原因の第2位・寝たきりの原因の第1位で、維持期のリハビリ難民が増加しているという背景があります。そこに対してできる鍼灸のサポートがどういうものかを学びました。

次に、腰部脊柱管狭窄症についてです。その症状やリスクファクターは術前に患者に対して十分に説明をしておく必要がありとても重要です。
付随して起こる歩行時のしびれへの介入には、足底の固有感覚を利用したバランス安定を促すサポートをするとのことで、メカノレセプターへの灸治療がデモを併せて示されました。
また、鍼灸治療でのリスク管理や、神経障害性疼痛で用いられる薬剤「リリカ」の解説がありました。

最後に、患者の残存する力を導き出すのが鍼灸治療のよさであるとのメッセージがあり、2年間の研修の最終回が終わりました。

中医鍼灸

中医鍼灸の最終回のテーマは「五官疾患」です。
五官(目・舌・口・鼻・耳)は脳と繋がる関係が深い感覚器です。

目の疾患では眼精疲労に関係する症状と弁証や配穴を、画面上の図に横田先生が書き込みしながら講義を進めてくださいました。
目は「目系」で脳と繋がっていて、脳は督脈と繋がり、「目系」は肝経のほか、心の支脈・胃の経別などとも繋がりがあると、図と併せて示されました。「目」そのものは手の三陽経と足の三陽経が入れ替わる場所でもあり、多くの経脈と関連がある感覚器であることがわかりました。

耳の疾患として突発性難聴、舌については舌の動き、口に対応する症状として味覚障害、鼻の症状では副鼻腔炎や鼻水・鼻づまりなどについてそれぞれの解説・配穴の説明があり、刺鍼をデモにより教わりました。

本治治療ができるようになるまでは時間がかかるため講義に特効穴として使える経穴を含めてくださっていたことなど、横田先生からの親心ともいえるエールが伝えられ、最終講義が終わりました。

経絡治療

経絡治療の最終回のテーマは「フレイル」でした。
オンラインでの講義ですが、ホワイトボードを前にいつもの相澤先生のスタイルで講義を進めてくださいました。

フレイルとは心身の活力が低下し要介護にむかってのリスクが出てくる状態であり、正しく治療や予防を施すことが重要です。フレイルの3要素は身体的・精神的・社会的要素でこれらが複合的に起こったものであり、心身一体と考える東洋医学ひいてはトータルな医療としての鍼灸は、有効な治療法として期待されているとのこと。

サルコペニア、ロコモティブシンドロームとの異同、フレイルでよくある症状や運動療法の解説のあと、経絡治療での考え方を説明くださり、本治・標治のデモを見せていただきました。
特に標治では、拘縮の強い原発部分の「絞り込み」、協調運動を阻害している部分を探す「俯瞰」が治療対象を決定するポイントであるとのことです。

経絡治療担当講師であり本協会会長の相澤先生から、医鍼連携を推進する協会の近未来像、臨床力を高めるための努力についてなどが語られ、第1期生は一年越しの最終講義が終了しました。

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