第2期 第10回医鍼連携研修

第2期 第10回医鍼連携研修を、オンラインにて開催しました。
期間:2021年3月21日(日)〜3月28日(日)

カリキュラム
【臨床各論共通テーマ】 COMMON DISEASE への対応を確実に身につける 婦人科疾患
【東洋医学的な考え方について系統的な講義】 中医鍼灸 : 治療学 (標治穴) / 経絡治療 : 総論まとめ

現代医学

聖路加国際病院女性総合診療部の渡辺浩二先生による講義でした。

女性を診療するときの注意事項、生殖器の解剖・生理の解説がはじめにありました。

その後、器質的・機能的婦人科疾患、産科疾患、不妊症についての概要・症状・診断・治療法を、症例を交えて説明していただきました。専門医の受診を勧めるべき症状や、子宮内膜症の癌化、HPVワクチンについてなどについても解説がありました。

機能的疾患の多彩な症状に対して漢方や鍼灸治療の可能性があること、骨盤位(逆子)への鍼灸療法は医学的根拠が乏しくコンセンサスがある方法ではないとされていることなど、鍼灸治療との関係について現代医学からの見地から言及がありました。

現代鍼灸

粕谷先生から「女性診療科における鍼灸治療」など、東大病院のリハ部門と女性診療科における臨床の共同研究の一端などをお伝えいただいた後、東京大学医学部附属病院リハビリテーション部の小倉洋子先生から「不妊(症)と鍼灸治療」をテーマにした講義がありました。

不妊の因子は女性・男性それぞれに同程度の割合あり、各因子の詳細を、東大病院で実施されているスクリーニング検査、手術説明書などの実例を挙げて説明していただきました。また、近年の生殖補助医療の現状などのデータが示されました。

また、皮膚に加えた体性感覚刺激が神経性調節に関与していることがわかっていることから、子宮の血流改善に対する鍼灸の効果が期待されているそうです。ただし鍼灸治療介入後に子宮内膜厚が改善されない既往症がわかっており、その解説がありました。

最後に、知識習得の重要さ等、患者と向き合うために必要な姿勢などが示され盛りだくさんの講義が終了しました。

中医鍼灸

総論は、経絡病証の配穴処方(治法と配穴)と刺鍼でした。今回はなかでも循経穴がメインです。

経絡弁証は症状のある箇所を流れる経絡での弁証で、標治穴の循経取穴の手がかりになります。
不通則痛(経絡が通じていないから痛い)、通則不痛(通じれば痛く無くなる)を原則とし、痛む部位が前面ならば前面を通る経絡のいずれかが滞っていると考えます。各経絡で用いられる治療穴にはどのようなものがあるかを教えていただきました。
ほか、上下左右前後に変換する空間による配穴法、体幹など動かせない部位の運動鍼などの紹介がありました。

後半は各論の婦人科疾患です。
中医学での月経周期の考え方は、肺からの清気と脾からの水穀の気が合わさって気血となり、心の推動作用により全身をめぐり肝に入って肝血となり、それが腎精とともに肝の疏泄作用により精血として胞宮に一定量溜まると月事(月経)となる、というものだそうです。この考え方を元に、月経周期の様態と虚実からの病証解説がありました。

また不妊症を例に標治・本治の配穴を教わり、その刺鍼の実際をデモで見せていただきました。

経絡治療

今月の総論は、六十九難本治法+全身調整穴です。
肝虚証・腎虚証・肺虚証・脾虚証の本治穴と、本治穴と組み合わせることで効果が安定して出せる全身調整穴について、実際に相澤先生の刺鍼の手元映像を閲覧しながら講義を受けることができました。

次に各論の婦人科疾患です。経絡治療では婦人科疾患を肝、 腎・命門の病態と考えるそうです。
熱型・ストレス型・冷え型の三つに類型され、それぞれの脈の特徴、腹証や代表的症状、対応する本治法と標治法、効果を出すポイントを教えていただきました。
また、三陰交の類型ごとの所見と治療のコツの紹介もありました。

重要なポイントは患者がどの類型なのかの鑑別です。 特に腹証に特徴がでやすいとのことで、相澤先生の手元の映像で、所見の触診や刺鍼のコツが詳細に示されました。

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