第2期 第3回医鍼連携研修を下記要領にて開催しました。
会場:東京大学医学部附属病院 中央診療棟2 7階大会議室
日時:2019年7月21日(日)9:30~16:50
カリキュラム:
- 臨床各論共通テーマ…腰痛
- 東洋医学的な考え方についての系統的な講義…中医鍼灸 病理(2)、経絡治療 病証理論
現代医学
身体診察しながら腰痛を解明する方法を、歩行観察、背部の観察、前屈・側屈・回旋・背屈、圧痛点など、筋肉と関連づけて、須田医師が解説してくださいました。
Red flagの解説では、教科書的によく聞く「体重減少」「夜間安静時痛」などの程度やメカニズムについてお話がありました。
また、急性腰痛症に鍼灸で対応することの有益性についてや、急性腰痛症以外の頻度の高い機械的損傷の特徴についての解説があり、最後に腰痛がある協会スタッフの身体をモデルに超音波画像で理解を深めました。
現代鍼灸
今回は東大病院リハビリテーション部鍼灸部門 小糸先生による、非特異的腰痛をメインとした講義でした。
腰痛の Red flag のほかに、本来 Green light であるはずの腰痛が慢性・難治化してしまうことに関与しうる要因= Yellow flag の紹介がありました。急性か慢性かでの対応の違い、慢性疼痛での痛みの恐怖回避モデルでの説明があり、慢性疼痛においては臨床の場で患者さんへの説明が重要なことが語られました。
鍼灸での治療については、非特異的腰痛の2タイプに対する東大病院での治療についての解説があり、研修生はペアで刺鍼練習しました。
中医鍼灸
腰痛の原因と、治療のポイント「前の病は後で取れ!後の病は前で取れ!」「体の状態が体の一部に投影され、体の一部の刺激が体全体に及ぶ」と、治療穴について横田先生より解説がありました。中医独特の取穴をする経穴、立体的な経穴の取穴など、中医での取穴のエッセンスを教えていただきました。
総論は、陰陽虚実の病証のうち虚証について。臓腑病証の解説とともに、臓腑の正常な機能を知り想像をすることの大切さも伝えられました。
経絡治療
総論テーマは病証理論です。経絡治療における証は「臓」+「病理」で表現されます。「臓」を決定する参考となる蔵象と病証理論について相澤先生より解説がありました。
各論・実技は、腰痛タイプの解説と治療法、運動鍼の使い方(刺鍼方法、患者さんの身体の動かし方、一回の治療の切り上げどき判断など)でした。実技の最後には、浅層の筋緊張を緩める刺鍼と、炎症が瘢痕治癒した部分を緩める刺鍼の留意点について説明がありました。